柿渋の曲げワッパ締め紐

柴田さんが造った弁当箱にしたのは、無塗装の白木のままの曲げワッパだから。

これが使い手には、意外にハードルが高い。団塊世代にも数えてみれば、お櫃(ひつ)が食卓にあったのは七〇年もムカシのことだ。

気にもしなかったが、あの頃、我が家の台所の実権はおばあちゃんのものだったろう。

また、お櫃はひとつではなかったろう。遣いまわしたその一つはいつも、伏せて乾かしてあったのではないか?
いずれにしても随分と、黒ずんでいたのではないか? それがどうしたというのか!

(以下紙)。
可愛らしい色々を用意してきたが、そうしたハードルには柿渋こそ似合いだ。
柴田の曲げワッパのユーザー像を、カクノゴトく改める。