個展二○日前

 流木を整理しながら枝振りを吟味する様子を見る人があったら、どう評するだろうか。
 さてと、準備したのは黒板の六点から。手始めに編んだ昨日のものには、特別の思いを込めた。仕事場に散在したロープの切端を繋ぎつなぎ、まず一つ編んでみたのだった。
 ふつうは20メートル巻きの編み針を5度ほど接いで、ハンモックのネットは編み上がる。つまり三ミリロープが200メートルくらい使われてい。
 百本(!)も編めば、作業時間は3時間くらいになるだろう。糸紐ロープの類のつなぎ方・結びも色々だが、ハンモックでは背中がゴロゴロするように見えて見栄えがしないので、端を相互に編み込んだ接続法(ショートスプライス)を採用している。
 ふつうは五度ほどのこの作業を切端を繋ぎつなぎ編み進めのだから、何倍も時間がかかった。石垣でのスタジオのイメージはまだ浮かんでないが、現在の作業場(愛知県春日井市)は広さ百畳の倉庫で、すっかり体が冷えてしまった。
 タコ紐よりいくらか太いもののショートスプライス、指先をごにょごにょさせる細かい作業を繰り返した。
 前掲字句「接いで」には携帯の変換候補に「接いで」のほか「継ぐ」も挙げられたが、ふと接ぐにしたのにはそんな訳であった。手篇。

 こうしてひどくアースカラーなハンモックが編み上がった。張り棒にもパナリ島に流れ着いた流木を使うとしよう。縁に通す太いロープも、一部だがパナリの浜崎のビーチで拾ったものを脇に用意して、夜半に作業を終えた。