六つ目はパナリの浜崎で見つけた流木にしつらえ直した。

生ナリの純綿ロープが気に入っているが、パナリで採取した木があんまり白いのでビニロンの三つヨリロープで編み直してみた。長い漂流の末、浜崎に流れ着いたこの流木に似合いのハンモックになるはずだ。
これで予定した手編み作業をひとまず終えた。明日はそれぞれ吊って荷をかけて、結び目を締める。この作業を怠ると、ネットが沈んで罠にかかった獣のようなみっともないことになる。笑えない失敗をしたことがある。
もう二〇年も前のことだ。ビーパルを通じて沖縄本島のエージェントから、リゾートホテルのオープンリーフレットにハンモックを使いたいという話があった。旅費だけでロケーションに立ち会って自分で設営すると言ったのだが、実現しなかった。
ムーン何とかというホテルだ。再会して汚名をすすぎたい。

古くはヒトが蒸気エネルギーを獲得して新しくは石油化学製品の成形術を完成させて、我々の周囲にあふれる品々は未使用の新品がいちばん値打ちが高い。年若いお姉さんの根拠のない自信も、この系譜にあるだろう。
貫入に茶渋が入って使いながら愛着を増し器が価値を高めるようでありたいと、私はハンモックを編む。