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美人画や「怪人二十面相」の挿画で雑誌や新聞小説の世界を席巻し、わずか三十四歳の若さで世を去った挿絵画家、小林秀恒。戦前のわずか七年ほどの短い時間を文字通り彗星のように駆け抜けたその人生を、私は妻としてともに歩んだという。東京での初の回顧展が開かれているのを機に、今年九十憂四歳になる私が故人の思い出を振り返りたい。つづきはまた。
日経09・3/3文化40面から