木枠の温室

カドを挟んで母屋に対面したコウエは亡父が所帯を持ったときは二階はなかったような気がするが、確かめていない。
更地に戻すのに四年もかかってしまったので母屋は解体業者に任せるつもりだが、官費で施された防音工事の重厚なガラス戸をもう一度使ってやりたくなって悩ましい。
電照菊の温室に木枠のものが残っているうちにと、元旦の午後伊良湖岬まで出かけた。
ビニールハウスばかりだが、探せばまだ木枠ガラスの温室もなくはない。
八畳八畳八畳十畳六畳の縁側に付くガラス戸20枚を外して木枠に入れて、木造の可愛らしい温室がイメージされて困る。どこに何の為に……。
ドウキよりモクテキより、素材が優先する。