すべるように

デッキから海をみていると、揺れる足元を気にしなくなっているのを感じる。
多くの雨をもたらしたようだか、海上はやや波が高かっただけのことだった。

七階だての下にB1、さその階下がエンジンルームになっている。
客でないのでそれぞれ裏側に、別の目的をもった空間があることがわかる。

客船というものがどうなっているのか、好奇心のある子どもでも連れていたら喜んだろう。

決められた時間帯をはずして食堂に足を向けると、フィリピンクルーでごった返していた。

商売道具を送り返す、荷造りも済んだ。廊下に出しておけば、集荷してくれることになっている。

揺れる床になれるころ、船は港に入ろうとしている。