田植え水の前に苗代水
名古屋港や名古屋のエアポートのある伊勢湾を形成した河川は、木曽三川。
三川、このさんせんと読むヨコ三本タテ三本の字面を見ていると、灌漑に心血を注いだ先人たちの命を賭けた労苦が偲ばれる。
第一水が「苗代水」で、次が「田植え水」。
今はその境目にあって、水路は干上がっている。
この段取りは私の周囲では形骸化していて、有効性のない用水運用と言わざるを得ない。
見渡してみるに周囲に、苗を自前で育てる人は私をおいてない。
種苗は農協がコントロールしており、農協は俺んとこから買った苗から育てたコメでなくちゃ買ってやらない……なんてぬかす時代なのだ。
なかなか写真の懐かしい風景に言及できないが、私をして苗田はプラスチックの箱の中のことで水は蛇口につないだホースによったものなのだ。
間欠する水脈に沿った緑の径、この径……コミチという字をこの写真のキャプションで使いたくて、長々と書いてみた。
先にはとつぜん緑が途切れているのは、除草剤が使われているのだ。
足許に扁平なタンポポがあって、ひょっとしてと思うのだが果たしてニホンタンポポではなかった。
痩せているだけなのだ。裏返してやると、頚のガクがめくれている。