空に編む

車と大面積のサンデッキを共用するアパートメント「青テント」の、デッキ頭上をネットで覆うように編みつけた。

携帯では全貌が伝わらないが、かねて二の足を踏んだように三日がかりになった。植物が蔓を這わせる伝(つて)だから、ゲージなんか用意しないで不揃いな網目になるよう心掛けた。
とかく手が覚えている……ような仕事は、うっかりすると均整のとれたものになりがち。

デッキを這いかけた葡萄や木苺を、やっと中空に導いてやることができた。このアパートメントは「コーポラティブ・ハウス」構想によって改装中の、重量鉄骨構造の築10年程度のものでコミュニティ食堂と手編みハンモックの常設空間をデッキスペースに持っている。

入居者募集を来春四月に開始する予定で、ディテールについてまだ時間が必要だ。緑の蔓が伸びるのに時間が必要なように。


両端は耐光性のある石油科学系のロープだが、ネット本体は純綿の三つ撚り。ネットは三年から五年で前後不覚のものになるだろうが、そのときネットの意図は植物の蔓によって果たされている。一定期間のことだが、一定期間とはソコデ誰レカガ、生キテイルヒトトキノコトデス。