一斉に咲く戦略

一番の海岸通りを、やや遠回りだが歩いてかえる。行きは可能な限り新ルートを探して、右往左往してギャラリーにたどり着く……をテーマにしてるが、帰りはお腹空かしてるから、さんさん食堂に寄るコースが定まってしまった。飲み屋だが名のとおりの食堂だった歴史があるのだろう、おつまみにボリュームがあって、定食もしっかりしていて気に入っている。四十路半ばといった女主人が、元気な女のコを一人使っている。二人とも笑い方が少し下品。どちらにも悪い印象をもっていないが彼女が主に合わせてるフシもあって、親しかったらひとこと言ってやるかもしれないがその気はない。

昨日島に来た初日、その入り口でお久しぶり♪と声を掛けられた。店日は珍しく客の姿が、一つもなかった。まだ私は自己紹介していない。
生まれて初めて「よそ者」になったので、ゆるやかなそのプロセスにあったこの五年といつもの、言葉もモノ表現も頼まれもせず風呂敷を拡げてきたが、自前のギャラリーを開いた今それも終わりにして、もうこの店以後は面の割れるにまかせればよいから楽になる。

オキナワでは二年くらいのわずかな間に不動産の連帯保証人になってもらえるくらいの関係が片手くらいできたが、石垣ではそうした発展的な人間関係に乏しかった。
オキナワではその反省をふまえて新聞社の文化教室講座企画、南洋墓参団参加、学童保育障害福祉施設など、たかがハンモックの着地点に多彩なシーンを組み立てようと試みた。

正面に据えた本命、リゾートホテルや野外体験施設にアプローチし始めたところで、オキナワを中断したのは理由のあることとはいえ惜しい時間を使った。再び石垣に戻って、仕切り直してオープンしたギャラリー「パナリ」である。


島社会では欠かせない保証人を…以下別項。