二度死ぬ

もう一度死ぬということ。
死んだ子の歳を数えてきた先立たれた者の命にも限りがある。

その踏み切りで双子姉妹の片方が遭難したのは、半世紀も前のこと。

その事故を知らなかったが、遮断機の許に花が飾られるようになったのにははじめから知っていた。

五〇年もたったのだからいつ花が枯れたままになっても不思議じゃないのに、この日が来ることに思いをめぐらせるのが悪いことのように感じた。

かわりに思いついたのは逝かれた親は既になく遺された姉妹の相方あるいは、ほかの誰かがこの花の維持に手を貸しているという空想だった。