置き土産

四月毎土曜四回に分けてゆっくり編んできた手編み教室は、連休の始まりの土曜日に終わった。

二才児と来てくれたのお母さんも、彼女を重石がわりに載せて編み目を締めた。

初めて空中て横になった彼女の緊張の面もちを、だれかがケイタイに収めてくれただろう。

いつもそこまで手が回らなくて、記録写真に再会するのには時間差が生じるのはやむを得ない。

できるだけ安くしかも実用的な「手編み教室・初級編」だから、発泡スチロールと同じ素材を三つヨリにしたロープをつかった。端ロープに牛を競りに引き出す径12ミリくらいのものが、この島に出回っていて重宝した。格段に安い。

上品な綿糸より(綿糸をこう言いたくなるんだから時代は変わる)屋外に置いて気軽、一ト夏ほったらかしくらいの耐久性があるだろう。もっとも摩擦に弱い。スチロールだから。
そのかわり端始末はライターて炙って、先を溶かせばよい。


置き土産に一つ枝に、ガシュマルを背景にもう一度しばりなおして去る。
ルームミラーの奥に焦点を合わせる理屈をかんがうてみたが、その基礎教養というものを持ちあわせていないのだった。