蜂の巣を払うのには、私にとって特別の意味があった。
毎年とおもにじゅうも出くわしたが、彼らを傷めたことは60年で五度もない。

新しい入居者が三人の男の子持ちだから、先手をうって蜂の巣を動かした。動かしたに点々。立て掛けた一輪車に、取り付いていたから。

デッキの隅へほんの三〇メートル動かすだけだが、羽根の生えた連中ごととはいかない。
軽く殺虫剤で追い払ったすきに、一輪車を押した。案の定三匹に足許を刺された。小さな家蜂、
何匹かは悶えて死ぬ。仲間のために死ねる。困難な転居の犠牲を受け入れるだろう、真似できない。

ほとぼり覚めて日がくれて、墓守りのていでひとりいて。
何匹かは探索の範囲を拡げているが、新居にたどり着けてない……。

保虫網て掬って運んでみた、

三人の男の子がどのくらい暴れれば、蜂の重しが効くかといった七月の末だ。