イリの満月

いま地上は裏側にあって、太陽はこの海の向こう側で影のない丸いままの月全体にはねかえして、光を未明の世界に届けてくる。

夜半にも船が往来することを知る。ケータイとスマホの中間のもので、突起のあるボタンが今となっては邪魔。

そのカメラは描写にバランスの悪い偏りができてしまう点では、信頼できないものだ。
月は満月の輝きが十分でないし、赤い灯はもっと頼りなくささやかに瞬いて存在の小さいのが本当だ。

海上は、これよりずっと凪いだ大きな広がりをみせている。

イリは日の入る「西」、アガリはその昇る「東」。

ベランダ椅子は間に合わせのもの、双眼鏡は島にはいいものがなかった。
定点観測が、次の往復の課題だ。

一四夜の夜明け前、明日の方がもっと円くなる余地があるかどうか。
じっと目を凝らして見るのだが、感じられるのは、水晶体の萎縮変形ではなかろうか。

明けて昼間が、もっとも満月の名にふさわしい月齢なんじゃないか?