手腕再生

パナリを土産もの屋にする気はないがその気で入ってきた旅行者をがっかりさせるのもと、根付けのようなものを増やした。

ピンセットの必要な結びで肩が凝って、目が霞む頭痛がする。
近くに馴染みのマッサージができて、ずいぶん高くつく土産になった。

腕を切り落としても切り落としても、一週間もすればまた生えてきてその始末に困惑している。
わが腕ながら後ろめたい違法行為だと考えていて、いつまでこんなことが知られずにできるだろうかと追い詰められた気になっている。
……。

風邪だ喉が痛い、売薬を飲んでもう一日大人しくしていよう。悪夢を恐れるのはいつ以来か?

英語圏外の映画を観てふと、その国の風土に育まれた言語の文法が映画に落としている影に思いをいたした。おもにフィルムのつなぎ方。

読んでいるのは「朗読者」、映画・愛を読む人の原作ベルンハルト・シュリンク
識字障害について考えると、意識の中がシーンと静まり返っているような気がするのは何のヒントか?
オームの刑量確定者の中で塀のこちら側に落ちた医者の林某の、無邪気な呵責の様を思い出した。裁判官も人の子、自己表現にもともと齟齬のある者がとり憑かれた風俗だった。十三階段に消える者の声は届かない。