ソフィー・マルソー「カルタヘナ/陽だまりの絆」

水は白く輝き
姿を変えず 冷たく
受動的で
唯一の欠点に固執する

重さだ

この欠点を満たす
特異な方法がある
迂回し しみ通り
浸食し 浸透するのだ

その欠点は
自らにも作用し

絶えず くだける

いかなる形をも拒み
たた頭(こうべ)を垂れ
地面に腹ばいになる
屍さながら
修道士のような姿で


「ポンジュは
何を思って書いたの? 」
「愛する女だ」


水は常道を逸している
己を支配する重さにだけ
屈するという――
異常な欲求ゆえに


字にすると訳文のゴツゴツした耳障りなものになってしまうが、エンディングの黄金色の波間の人影は普通でない日常もまた続いていく思慮を歌い上げた最上級のものだ。