すべてのユリがうつむいた日

植物は内面を充実させる方法で成長する。彼らの時間がそうしたベクトルでながれていることを、ユリをまいにち眺めて感じる。

この一杯呑み屋はキャベツを洗わないとクレームをつける若者を、料理を生業にする女性が昨日のオキナワタイムスに書いていた。玉葱もまた、と。
件の若者は日本猿のように、一枚一枚剥いたことがあるのだろうか?

かたまって付いた蕾は次第にまばらに尺を伸ばし、つぼみの中に花の準備が整うとユリは頚をかしげて開花前夜の愁いに視線を落とす(眼があるならば)。
そのすべてのユリがうつむいた日が、今日であったというメモである。