月もまた旅する

「靴もまた旅する」……スニーカーにロープの余り片をしつらえる思いつきを、こう呼ぼうと思う。午前六時まえ、中天にあった月は一晩かかって西ぞらに移動した。
月もまた旅をしたのだ、間もなく麗しい声で謳う鳥がやって来る。水平線に舳先を向けて、待っている巡視艇は船出する。
三人の靴ひもをしつらえ終わって遣り足りなくて、赤と黄色の24センチのバッシュをテレコにして……こうした。