漂着した人

島に戻るとさっそく、送り返されたNPO「N」から切れ切れのハンモックを受け取った。無邪気な報告写真が添えられていて、呆れる。

九本とも三点で張るように作ってあったのだが、その片方をまとめて二点で吊ってネットに遊びが生まれて斬れてしまっている。

しかしこれほど、どれもこれもちぎれたハンモックにしろと言って出来るものでない。多くを言うまい。

ふと気になって同じオキナワだが、やんばるの孤絶した浜に残してきたハンモックのことを思い出した。
南洋群島帰還者の会慰霊と交流の旅」に、お供した年のことだ……。

フェイスブックの段取りを知らないが、覗きは出来る。「ぬーふぁ、ハンモック」で、その現状報告にすぐ行き当たることが出来る。そのコメントはNのケッタクソ悪さを帳消しにする、愉快なもので気を取り直して夏休みに繕いを間に合わせる気にさせるに十分だ。

曰く、「このハンモックは、
ある日、この浜に流れ着いたハンモック職人に
よる手作りだそうで
そのハンモック職人は、いろんな浜に
流れ着いてはハンモックを
作っているとか……」というもの。

とくに「いろんな浜に流れ着いては」のフレーズが、だびたび人生を意図的に流失させている様を言い当てていて微笑ましい(我ながら)。
中山林業生産企業組合の森一則さん、ありがとう。