みどりなかで「思い出のマーニー」

島から出ると映画を観ることになっているが、昨夜は「思い出のマーニー」しかなかった。話題の要素を知らないが、ピアスの「トムは真夜中の庭で」の弁当箱に、冷凍のツマをいくつも詰め込んだような映画だと、暗闇を共有した若い人達に席を立つとき車イス席あたりで振り返る自分を想像した。

そんな闇の共有ができない離島の映画事情を。「離島るーる」として主張してはどうか? ゛家庭¨を逸脱して闇の中で、たとえば思い出のマーニーの共有を映画館のない島や山村で可能にするものだ。映画を小さくないスクリーンに映し出すことは、思ったより難しくない時代なのだから。

緑滴るころ万緑の葉陰に、ひとり色づく病葉あり。目を閉じて脳裏に浮かぶ補色残像は、赤い葉に囲まれたたった一枚のみどりの葉である。