おたのしみは……だ

いちばん上にあったのは、邦画「私は二歳」。VHSのムービーを三〇〇本くらい、捨てずに島に持ってきた。高温多湿の当地で、寿命一〇年くらいはもつだろうか。
レンタルビデオ屋でお払い箱になったもの、おたのしみは外箱を紙張りで作って、ケースに挟んであった表紙を貼って「ビデオテープの装丁」と称する手ワザのいちジャンルの家元になる一〇年後の、ヨタヨタのわたし。まだ「コンテンツ」などと呼んでいるだろうか、いまい。気に入らない表紙なら、作りかえるのもいい。むしろその場合のほうが、多いかも。訳題も内容要約も煮て食おうと焼いて食おうと、老人の勝手だ。

最後の仕事。失笑、はたまた刮目。意に介さぬ老人、目には浮かぶが指先が言うことをきくかどうか自信はない。