「かびら」

午前九時「かびら」が港に入ってきて、人工島の間に合わせの岸に接岸する。

そこに見え隠れするマストを数えると先客が二艘のようだが、沖にケツを向けている。

かびらは帰ってきたわけでなく、港外で待機して夜をあかして今スタンバイの第一挺となろうてしているのだと分かる。まもなく舳先を港の開口部に向ける体勢にはいるだろう、朝日を直角に受け取って輝くばかりだ。