古書店脇道

島を出て靴屋巡礼の途上、脇道で重い古書が増えることがあった。1988年みすゞ書房刊の戦地で娘に書いた未投函の手紙が拾った米兵によって、受けとることになった本人による新刊。

読み終えてないが文章は精緻な構造でありながら、女性らしい優しさを湛えている。出版の意味があると世に送り出されたが、新刊のまま一部は古書に流される扱いだったのだろう。私は誰も開いたことのない福田恵子の一冊の、ページを繰る。

逃走する全裸の少女、裸足で白旗をかざす少女、事切れた妹をおぶった少年……、観光資源などと、歴史を言う島。