大盛り具合い

一通り結び終わってなんだか喰い足りないと、端始末してあったりしてなかったりのロープ欠片ひとつ置く。それでよし──なら一丁上がりだが、さらに薬味や調味料を足したり眉を延ばしたり紅を重ねて化粧が濃くなったりするように、大盛りズックは行き着くところまで行って収束する。すべてを解いて抜きとった紐をゴミ箱に投げて、今日いちにちが何だったか分からない日も時には悪くない。

むかしむかしデュッセルドルフ芸大で同級だったという、トリッペンの靴を見て日独二人の女性がギャラリー「パナリ」にはいってきて、ビックリするような役を買って出て下さった。多少琴線に触れもしただろうが、ほぼ旅先での気紛れと受け取った。