使い込まれたロープ

おたん婆(ばば)辺りを歩いてくると、初見のロープあり。よく使い込まれたもので、その腰の馴染む様子がしのばれる。
ここの前はいつも歩いた道なのに、気がつかなかった。いつもの光景のようだが、そうしてみるとどこかから運ばれた廃品を洗ったところかもしれない。

つかぬことを伺いますが──と、押し入る気持ちを押さえるのに苦労した。径は縄のれんほどに見えようが、実際はずっと太い。トラックロープや土木作業の現場で用いられるものは、直15ミリから20ミリくらいだろう。
これは更に一回り太い、それに比べて全長は短く揃っている。この使途不明な印象が、私を不審者にさせそうだったのだ。