伊野田の土地にした第一はアコウの森があったこと、他に買われたらきっと厄介者にされただろう。
二はこれもふつうは資産価値を下げる屋根のあるなし二棟の朽ちた倉庫が気に入ったことだが、直接的な差し迫った動機を持っていた。

それは都市部から離れて不要のものを燃やせる空間が、もうそろそろ必要だったことに尽きる。

そこは道の向こうは海だから無理もない、手をあげて横断してきたって驚かない。しかしどんな彼の好むモノが、ゴミ焼き跡にあったのかわからない。

新たなゴミに火をつけたら大きなハサミを振って、這い出してきた。小さい方のハサミがない。蟹のハサミって生えてくるのだったか?

小さな家計画が頓挫して脇に造ろうとしたカマドにも着手できず、集めた赤土だけがうずくまっているありさま。燃える日を眺めることは、ゴミ焼きでのみ可能な只今です。