杉曲げの弁当箱を閉じる

どれも二段あって、片方を漆塗りにしておかずが入る。

無塗装白木の下段が深くて飯が詰まることになるが、厚薄を入れ替えて塗っておかずの入る段を厚くした組も作った。

こうして一段だけで使うのも飯盒型の湾曲が体に添って、具合がよい。これは大中小ある中の、大。
飯ならどんぶりの容積。

蓋を閉じるのは例によって、ロープ余りの欠片。

頭から指先のピアノまでだって離れているのに、なぜか私の手がする表現の作業にはタイムラグがある……お絵かきが好きだったずーと昔から思っていたことだ。指がロープの欠片を靴に結んでしまうのに、抗することが苦しい日が訪れた。

作品が完成する夜明けに思うことだ。曲げわっぱ四〇足らずを綴じる仕事ではすぐowattesimau.watasinoyubino tyuuiwo sorasunanikawo mata  mitukenakuteha……。