履きおさめ

2017年5月30日、伊野田の草っぱらを行き来して雨ざらしの建材にクレオソートをしこまた塗った。指輪にしたいくらい繊細な、生まれたてのサソリが柱の裏にいた。

なんどか仕舞いかけた縞のスニーカーを、履きおさめのつもりで、洗って自然光で撮った。南の島の遅い落日後、桟橋に船はすでに休んでいる。

こうして履き潰した靴に特徴的な結びがなされて残っている……、なんてことでよいと思う。

わずかのあいだ痕跡をとどめる……履き手を失くしたス二ーカー。履き足。お足を欠く。