有効長六〇センチのハンモック

三年越しでハンモックに関した図録の完全判をまとめようとしているが、まだ時間がかかる。掲載ブツはほぼ揃っている。どれも一つや二つといわず、製作プロセスが安定するまで気の済むまで編んで解いた三年だった。

人形遊びの子どもが欲しいと言っても、これは玩具じゃない――人形を載せるハンモックではなく「生きたこびとがいるとすればそれ用」などと、子ども相手に分からない断り方をしたものだ。

そんなミニアチュールより大きな「ベビー・ハンモック」が、五種類ほどある。寝返りを覚える前の新生児を想定したものの先に、写真のハンモックがある。実用的なポリエステル3ミリカラーロープを、中ほどだけ二本どりで編んである。

おじいちゃんが赤ちゃんだったころ、このハンモックに寝たもの――たどと七〇年後に、二度ほどいて洗って編み直して世代間を渡っていく。私は見届ける時間を持ち合わせていない語らない物語りは、こうだ。