先達の落とし物

八月の14日、早朝。解錠まえの通用口にたむろする銀行員は、まだ現れていない。彼らも表を掃くが、その守備範囲を状況によって動かさない。

郵便局交番の十字路を南に渡って、自転車と並走する黒犬。目を凝らすと、両者は鎖で繋がれていなかった。先達の落とし物を始末する間に黒犬はやや先行してから、人と自転車を待った。

また、このコンビを見に早や出しようと思う。