三日月の傍の星

三日月のそばにいる星に、訊いてみた。よく三日月のかたわらに出ている星は、いつもお前なのか?と。

黒い被いに穴が空いてるように、夜の空を思っちゃいけない。闇の空間の奥行きは、思ってるよりずっと複雑。

ずっとどころか空間は歪んだり間延びしてくっついたりしていて、あなた方なコトバではいわく言いがたい。

――つまり色んな星が代わるがわる月のそばに、出るというわけか。三日月の尖った先に突き刺さるような、危なげな星……。

三日月の椀に今にも落ち込む星、三日月が向けた丸い尻に敷かれた、そっぽ向いた星……。仲違いしたような星は刻一刻と、三日月に近寄る。

三日月はその先を、言うこともないと思った。三日月ばかりでない。満月の夜にも星々は私たちの近くを巡る、お前たちから見れば。

しかしその星は私が明るすぎて見えないのだ申し訳ないことに――と、月も応えた。