歩道のバナナ

自転車が来ると人が、すれ違えないほど狭い歩道。島の岸に直行する縦の生活道はたて込んでいて、往々にして拡幅を困難にしている。

そうした桟橋通りの始まる730交叉点から、一軒上ったあたりの歩道の植え込みのことだ。対面歩道にもよく刈り込まれた植え込みからプルメリアが、古木と言いたいほどの風情で年毎の台風をしのいでいる。

かたや東西の南辺の歩道のバナナが、また濃い紫の嘴を歩行者に向けている。実は肩に触れんばかりで房を数えてみれば、バナナは一〇段も育って、さらに花弁を頭に冠した次の赤ちゃんの一列がのぞいている。

去年も同じことがあった。気まぐれな旅行者や酔客に、いつ悪戯されやしないかと気をもんでいる人もいるだろう。もっとも今年のこれは、料理用の「三尺バナナ」。

信州飯田の中心街には、盛大にリンゴの実る中央分離帯がある。ことしも色づきはじめているでしょう。地元高校生がお世話しているんだそうだ。島に美味しい並木はない。