背びれのある矢印と重かる石


新しい光明を見出した気になった。Rは埼玉で高校を出て、アメリカで絵と彫刻を学んだ。四年後そのまま助手で在籍したが就労ビザはなくて、帰国してコンピュータを触る仕事に就いた。向いていなくて毎日、頭痛がする。
このままでいたくない、ともかく五日休みを貰って石垣島に来た。急かされるように自己紹介をして、島を案内したい気持ちにさせた。三人目は死んでしまったが、Rは私を入れて四人目ではないか?

しただる浜に陶磁片を探して徘徊すると、背びれのあるサンゴと重かる石をRは見つけた。背びれのあるサンゴは「矢印」でバウハウスでのクレーの教本に矢印の項があると言うと、その美術出版社の紅い二分冊をRは古本屋で見たという。

やるよと言ったが、島に持ってきたはずだがすぐには見つからなかった。