藁のテクスチャー

魚籠と、この字だろうが釣り人が腰に提げるものでなく、百姓なら天秤(てんびん)で担ぐものだ。
毛羽だった藁縄は荒れた手で鞣されて、やがて擦りきりその役目を終えた。

掘り出した根菜類の収穫が帰り道なら、行きはついてきた子どもをぶら下げてきた思い出。

前新さんとのパンダナスバッグの最大サイズに、肩掛けナワを付けてみた。とても気に入ったが、これでは受け入れてもらえないだろう。
Nの写真一枚残して、もう少し大人しめの肩掛けにする、残念だけど。

手にした旅行者が「もちますか?」ときいた。
手にとるというのではなく、どれくらいの耐久性があるかと聞いているのだ。「 ぜんぜん……」すぐ飽きるくせに、と言ったも同然。彼女は肩をすくめて出て行った。

三日どころか五分で捨てられるものが三〇〇〇万年も分解されず、土に還ることのない素材だったりする。前新と私の共作の手提げカゴは、そうした点で人の身の丈に合ったものだ。