早いの接頭語のついた稲の門出となる早苗という語には、青田に吹きわたる五月の風を思い出させる。平篭を天秤で揺らして、畔をゆく。 葉先を振って苗の束を、その足りない辺りに投げる。家族は一〇人いて草の上の昼食は、うちは人参の混ぜご飯が多かった。つ…
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