伊原間のハンモック2

 昨年もっとも長く滞在したのは伊原間でナータ浜だという辺りを徘徊して、ハンモックを三つ編んだ。あしげく通った石垣だが、それは昨年とつぜん始まったことで、飛行機に乗ったのは四○近く前のYS11以来のことだ。
 衛星写真で見てみるとこの島がもっとも首れた伊原間の、「コーラルリゾート石垣島」というコテージが浜にいちばん近いように思われた。
 飛砂暴風林の海側は立ち枯れて延々と荒涼とした浜に人影はなく、ほぼ一週間で三つのハンモックが編み上がった。しつらえた張り棒は浜に立ち枯れていた木で、名をモクマオーというようだ。
 油質に富み堅木で、潮に強い。漂着したものかこれから流出するものか、区別がつき難いがこだわらない。コテージは名ばかりでプレハブの隠居小屋といった趣きだが、これでよいだろう。騒々しいリゾートから離れて、浜に近いだけが売りものの宿だから。

 コテージには日曜だけ店開きする売店が別棟であって、気まぐれアジアという手づくりの看板が架っていた。ここに二つ置いてからひとつをもって、私設キャンプ場「ココスビレッジ」を訪ねた。
 広い軒のあるテントサイトは、ハンモックを吊りっぱなしにして帰るのによい所だったからだ。今年二月の個展告知の事前ロケーションを、その園地でしてみた。
 こんなクモの巣状で寝られるわけもないが、ピゲカゲ浜に広がる東シナ海と空とを分ける水平線を背景にしたかったからだ。