海風ニ吹カレテ目ヲ閉ジヨ

手編みハンモック教室二日目、平日は夜とした。間があるので琉球新報二月九日、社会面コラム「はと笛」全文を採録してみた。

〇…第4回鯨海峡とかしき島一周マラソンから一夜明けた8日、高速船で帰路に就く出場者らの目の前にザトウクジラの親子2頭が現れ、海上に巨体を投げ出すブリーチングを何度も繰り返し、別れを惜しむように潮を吹き上げた。
〇…大会名に合わせたかのような鯨の出現に、船内は一気にどよめいた。圧巻のブリーチングに「すっごい」と歓声を上げ、大喜び。鯨が水面で胸びれを振ると「バイバイしてるよ」と感動していた。
〇…鯨の思わぬ見送りに平川加寿子さん(53)は「初めて鯨を間近で見られ、感動した」とはなした。


3ミリの純綿生ナリロープで編むことが多い。サイズのミリは直径、2ミリまではタコ糸で3ミリからロープと言うようだ。編み方を教えながら指先を見たまま、こちらの海はどうです?と聞くひとがあった。
それは言ってみればこの島の美しい海の印象を共有したい気持ちの表れたものだが、そうねェ……と気のない返事になってしまった。手を留守にできなかったせいもあるが、それだけではない。これは閉じた美しい池ではない。
きれいな海はきたない海に、つながっていることを知らねばならない。実体験だけがそれを促すものではない。
想像力がそれを可能にすると、言いたかったのだ。


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