五〇円になったビデオ

ゲオは私の生まれた地方都市で生まれたようだ、多店舗展開を統括するヘッドオフイスは近所の、DIYショップが撤退した建物を改装したものだ。三河商人だか尾張屋だかしらないが、倹しいセンスはレンタルビデオが薄いDVDに入れ代わってすいた棚をそのままにしておかず貸本漫画を差し入れたばかりか、擦り切れたビデオテープも300円で売り切ることにした。値札は150円100円と貼り代えられて、今では大方のゲオから廉売棚そのものが消滅している。
処分品として廉売に供されたのはレンタルビデオとして日銭を稼いできたビデオテープの一部に過ぎないと、私はニラんでいる。ある基準からもれたものだけだったのではないか?
国外に一括売却されたビデオテープのゆくすえを、DVDが巾をきかすこの三年ほどの間、150円などと貼り代えられたビデオテープの背表紙を指でおいながら、などと思ったものだ。私の知らない国で、紛れ込んだ日本語吹き替え判を見つけて笑いを噛み殺している光景さえ、想像してみるのだ。

センテンスがながくなった。ゲオは100円で売り切ったが、この期に及んで先日50円でビデオテープを大量に見切っている店に初めて入った。この店には国外チャンネルはないな、と思わせるタイトルが揃っていてずいぶん控えたのだが25冊、買ってしまった。すでに200本はあるVHS(早晩この言葉にも説明が必要になるだろう)のビデオテープをどうするかは、おりをみてお話ししてまいります。