「8メートルの棟木」

整地中の旧宅地、二階家に上がっていた棟木は八メートルの松が二本つなげてあった。人力で上げたものが人力で降ろせないはずはないと言ってはみたが、けっきょく重機のお世話になった。いまは空き家の貸し倉庫に、ひとまず収まっている。
重機で地上に降ろしはしたが往来に出ることができず、やむなくそれぞれ二つ切って運んだ。切り口を見ると年輪は思ったよりずっと若かった。七〇年も八〇年もまえのことだが飛行場ができるとき邪魔だから伐れとの御達示で、材となったものと聞かされてきたもの。
他にもめぼしい柱類を多くはこびいれた。さてどうする。目的より動機が先立って悩ましい。