はざかけ見本

台風がこわくて今年ははざかけを取やめて地べたに拡げて干すことにしたが(後述)、稲藁の長さがよく分かるようにしてみた。茂春サなどはこうして逆さに吊すと、稲の旨味が実に中に落ちる……などとおっしゃる。なるほどそんな気がする。


左から「あさひのゆめ」、黒米(長粒種)、「神丹穂」。あさひのゆめは早生の粳(うるち)米。先の18号は伊勢湾台風を思い出せるものだったが、上陸コースのみならず例えば伊勢湾を囲んだ防潮堤を脅かした高潮は、伊勢湾台風に相当する規模だったという。
にもかかわらず海浜部への被害がわずかだったのは言うまでもなく護岸が当時と比較出来ないほど進んだからなのは、日ごろ見慣れた周辺の風景からも諒解できる。
早生の中でも「あさひのゆめ」は特に丈の低いので風の影響をまったく受けなかったが、当地で主流を占める「あいちのかおり」・「こしひかり」といった品種も横倒しになったのは田のごく一部分だった。
早生は上陸直前に収穫を終えるタイミングだったが、それらはまだ刈り取りの機は熟しておらず稲穂のアタマがまだ軽かったせいもあるが、ハードな土木工事などだけでなく大きな台風に見舞われても到伏しない背丈が低くて腰の強い種の改良が飛躍的に進んでいることに、あらためて気づかされる。

藁ぞうりが編みにくいね。それと、藁で藁を束ねにくい(後述)。もっともこうしたソフトウェアにおける変貌に、そんなニーズは視界に入ってない。


名前のあるのは改良種に限られたことであって、黒米は名無しだ。昨今の古代米といわれるものもそうした元種ではなく、栽培が容易で収穫量も多い改良種が出回るようになった。流通に乗るとはそういうことに違いないが、私の作っているこれは違うので効率よく収穫しようと思うと色々と不都合が多い(後述)。
品種名がない……、これが古代米古代米たるゆえん。

写真右はしも古代米だが「かんにほ」または「神丹生(かんにお)」という名前があるのには、素性に由緒があるからだ(後述)。こちらの難点は丈を比較しただけでもそれが分かるだろうが、主たる難点は他にある(後述)。