わらつづみ

収穫の秋が終ると今年も、その人の田には藁つづみが立った。父の死後、この地区で最年長者となった人の手によるものである。それを見て、この年もその人にとって安泰に暮れたと私は思うのだ。
痩せてやや傾いているが秋晴れの日のなかで、八〇余年を過ごしてきた百姓の記念碑のように思えるのだ。