一輪廻

 彼岸も近い。しばらく湯船でうつむいて、こう呼んではどうだろうかと柄にもなく考えた。次は二輪廻(にりんね)になるわけだが、その間隔には長短がある……。日曜のスーパー銭湯はひどく騒がしくて、そういえば夏休みだもんな。
 グループホームへ義母を預けたがお彼岸くらいは外泊ということになるだろう、当家を仕舞う作業もいよいよ終盤をむかえている。新聞は止めたガスは切った、地デジを待たずにTVとも縁が切れてセイセイした。子の遺品整理には、経験しことがないほどぐずぐずと手間取った。今日燃やしたのは十八で死ぬ直前の紙類で、初めて読む八○○字くらいの作文いくつかは処分できなかった。