除草機を押す、豊年エビは宿る。

石垣での二度目のハンモック展示中に、ギャラリーの内装工事……をしながら、いったん帰って「中干し」に備えて除草機を押すことにした。

こんな空飛ぶ百姓も、もうしばらくのこと。


ホリドールなんて劇薬を使いはしたが、枯葉剤で草を根絶やしにしたりしなかった1960年代にこうした除草機を押す風景は、どこの田園でも普通のことがった。

尖った水車が水田を掻き回しながら押して歩くと、苗に遅れて芽生えた草に打撃を与えることができる。
屋根裏で眠っていたそれに陽の目を見させて点検すると、苗の植え幅に狭広二種類に応じて幅の違うものがあることを初めて知った。

トゲの植わって回転歯のないコロッケのような、使用時期の違うものを除いても六つもあった。
三ちゃん農業などと言われる前のことで、家族が11人いたころ我が家の水田除草人員は六人だったことがわかる。

仮設とも言えない赤テント倉庫頭上に上げた除草機だったが、いちばん具合の良さそうなものをアシナガが占領している。


雨にさらした石臼にホウネンエビは生きていた。