イタバネの鉈

島へ見本の鉈を持参したのて、さっそく鍛冶屋に見せに行った。とうぜん片刃で左右二つの種類をお願いするつもりだった。

島では両刃だという。片刃のものは二三本、作ったことあるかなと六〇を過ぎた島の鍛冶屋は言うのだ。仕方ない。

右利きも左もない。刃渡りは18センチのものと、25センチの二種類。
短いほうは刃の元を丸めてもらう。子どもに扱わせることを、想定しているから。

刃の元は菜っ切りでも危ないものだが、気をゆるすと鉈なら紅葉のような指が落ちてしまうだろう。
厚みは、ジムニーのイタバネ三枚のいちばん厚い所で、6・5ミリくらいであろうか。

まず三丁づつ、頼んでおく。「棄てがたいジムニーのイタバネで鉈を遺す」展、鈴木自動車はどんな顔をするだろうか。
あのとんでもないイタバネを平成14年まで変えなかった担当者は存命であろうか?