二体

本宅跡地を造成切り売り中。幅一〇メール余の道を付けて側溝を入れて水道を引いて、最深部まで届く引き込み電柱を立てた。

不相応な側道に、せめてアクセントに柿の木を移植したが幸先好くはない。
その周りを幼木で囲むように、柿を植えておく。
渋柿を選んで植えるのは戸惑いがあるが、過去に手本があるから。

いくつか売れて次第に家も建って、もうそのままにできない山之神を車にのせる。
米袋より重いなと、生きる歩く計量器は思うのだ。六〇キロ超。

桃栗三年のあげ句は八年一三年、この最終局面に更の続きはなくて、この地べたを元手のことなのだ。
誰も歩いたことのない道だからといって、楽しみながら出来る仕合わせを忘れないで往こう。


柿の木は移植が難しくってよ、今さら言わなくてよい。ほかに手のない時も、一手は交互に相対だから。わかっているよ。