白い犬

島をときに案内する人が来て、まだ歩くのかと言われる。
速くないのだが、キョロキョロとふらふらといつまでも歩く。間近に良い声で鳴く鳥がいる。

風景を楽しまない早歩きは好きでない、晴天を曇天にするサングラスも好みでない。

暗い中、対面する白いものがふたつ現れた。小さい白が、妙に小躍りするがそれが嬉しさを表しているようなないような。白い上っ張りの婦人と白犬で、ビッコを引いていた。

「痛そうですね、相当」犬に同情しかかったのは間違いで、「それでも歩きたいんですね」。すれ違いながら口に出して自問自答すると、彼女は少し首をかしげて微笑んだ。