徳利の中の徳利

地上よりあくまて慎ましやかに立ち上がり、その後野放図にビヤ樽化したおおらかさは愛でる者の頬を緩ませる。

久茂地の駅を降りて中空階段を公園通りに降りて、我々はオキナワに根付いた彼らのパイオニアに出会う。
私には2011年のことだった。このカポック棉を「ガラ紡」で紡いだら……なんて思いつきが、頭を離れなくなってしまった。

身は島に戻ることになったが、以来こうして花咲く師走は徳利棉の行脚をしている。
件の樹は、花をつけない。このわずかな間にも、木々は咲いたり咲かなかったりしている気がする。