ここにかえってくるまで

三人の母となった彼女の生家で夏の第一夜を過ごした朝、三人ともここはどこ?という寝起き顔だったろう。目を擦りながら、夕べは小牧のおじいちゃんちに来たんだと、次第にもやが晴れていくよう。

夏休みも宿題が気になる頃を迎えて、朝の覚醒地点に迷いの消えたら、そろそろ彼女の嫁ぎ先に退却することになる。

このたびその生まれ育った地で久しぶりに目覚めて、ほんの少しここはどこ?の寝覚めを味わった。そこは今の私のメイン・フィールドてはなくなったのだと、生まれて初めての感触。

秋を見誤って色づいた漆も、かくや。