バナナの次世代

一株10本ほどバナナを掘って次なる「小さな家」を建設中、林立するバナナ林の間あいだに小屋もまた増えていく予定。その度に間引くバナナは50本もあるだろう。半径10メートルくらいの円に沿って移植したら、異相この上ない。

マルの中は水を張ってあってバナナの樹間を貫いて、水上1メートルに綱渡りロープがある──。バナナの葉陰をかき分けてロープ上の人は、池を行くことになる。

池はささやかな稲作に資する見本田であって、曲げわっぱの弁当に詰めるめしに炊き込む「神丹穂」を育てる。──現実的でない思い付きにすぎない、私を知る者はいうだろう。

だいいち水田を築いた経験なぞなく、代々続いた田圃を売り飛ばしてこの地を手にしただけの者だ。少し掘ってみれば、バナナ林にどれほどの保水力があるかわかる。

港に近いギャラリーの隅に植えたバナナの苗は、三年で花開いて結実した。それからまた一年が過ぎてギャラリーのバナナにめ次世代がラッパ状の葉を、いちまい又いちまいと拡張している。

バナナもこの程度にしておけば人生の焦点も定まっただろうに、夢はとりとめもない。行くところまで行くことになる。