00308#1

珍しく昼寝中に呼び戻されると、靴はいつまでも見ていられるんだよネという青年ふたりが、触れない高い所に置いてあった革靴の包みを解いて、つぎつぎ履いて待っていた。

トリッペンのほか革靴はその一〇足ほどが全部で、履けるサイズはコレとコレなんて言っている。値段が聞きたいそうでトリッペンは45000円こっちは40000円、これでも30000円はしたかな。

いえ、それは靴屋で私が買った値段です。? ? 幸い(と言うべきか)これと決めたモノはしばらく履いたもので、20000円にしましょう。明日にして下さい。

二ミリの紅露染めで細かい結びが、自分としては不満足な出来に思えたから。写真は改めたもの、三ミリ同じく紅露。片蝶にして、しっぽを一つ加えた。

冷やかしになってもまあ、308に得心のいく改作か成ったのでよしとすると思っていたら、翌朝ギャラリーの開けしなにいらっしゃった。古靴にこんな後半生があって、嬉しい朝だった。