TYPE 318-1

三井彩加さんはつい先日もギャラリーにいらっしゃった方で、その後も硝子越しに気になってたと再訪。318の進むべき道を示した最初の「318-1」を履いて、あっという間にお帰りになった。このスニーカーに結んで、三日と経っていない。値札も付けてなかった。

もう一冊だけ作るだろう図録の表紙は主のいない318‐1でなく、彼女の足を収めた写真になることになった。そのまま履いてカナダにいくという後ろ姿は弾むようで、私も嬉しかった。おなじものは作れないかと、さみしい気持ちと背中合わせに。もうしばらく手許に置いて、見ていたかったから。

次から10種ほどの318の派生型を網羅する。前述318−1のようにその下一桁は、作者の中の密かな連番で今後は記さないと書いた。そこで10種のプロダクト/派生作に、次から「LUCL」というふたつ名を与える。ルーシーは品番に偶然符合する今を去る318万年前に、この地上に二本足で立った可愛らしい二足歩行者の大先輩の名である。 

アイソトープを使った年代測定には300万年単位で2万年くらいの誤差を見込んでいるようで、ルーシーの生きた過去を320万年とするものもある。私としては毎日三つ撚りロープを扱っていると、人の手技の永い歴史につながっているようで、2万年が手の届く時間のような気がして可笑しい。まだ300万年には及びませんが……。